前回のガリレオニュースで、今年の都立入試理科の大問3(問1)が、計算でも求めることができると書いたところ、その計算方法のお問い合わせをいただきましたので、簡単にご説明します。

まず北極からみた場合、地球や金星は反時計回りに公転するというのは、中3で知っておくべき知識です。
今回は問題本文で、「8月14日の数日後から,日の出の前の東の空に金星が観察できるようになった」とありますので、太陽・金星・地球が一直線にならんだ(会合した)時期が、8月14日ごろと考えられます。
問1の設定日時は3月24日ですから、143日後の出来事だということになります。

また問題本文に「金星は0.62年で1回公転する」とありますので、1日に公転する角度を求めると、
金星は、0.62年×365≒226日ですから、360°÷226日≒1.59°/日となります。
地球は、360°÷365日≒0.99°/日です。
金星のほうが速く公転しますが、差をもとめると、1.59-0.99=0.60°/日。
つまり、「1日に0.60°ずつ金星と地球の差が開く」ということが分かります。

3月24日は、太陽・金星・地球が一直線にならんだ143日前ですから、
0.60°/日×143日=85.8°となり、図3のウの位置となります。

上位校の受験生にとっては、共通問題の理科では時間が余る傾向にあります。
受験生の中には、このような検算をして自信をもってウと書いた生徒もいるかもしれません。しっかり考えた生徒が間違えるなんて、あってはならないことです。

繰り返しになりますが、東京都教育委員会は今回の問題ミスを認めた上で、再発防止に全力を尽くしていただきたいと思います。